パシフィック地区には米国南西部、西部のチームが入っている。アナハイム・ダックス、ダラス・スターズ、ロサンゼルス・キングス、フェニックス・コヨーテス、サンノゼ・シャークスの5チームである。ここしばらくはダックス、スターズ、シャークスの3チームで地区優勝を分け合っている。この地区で最近スタンリーカップを獲得したのが2006-07シーズンのダックスである。プレーオフに進出するのも最近はこの3チームである。かつてはコヨーテス、キングスもプレーオフに進出していた。しかし両チームとも主力選手の相次ぐ放出したため、若手を中心にチーム再建中である。
シャークスは2007-08、2008-09シーズンと連続して地区優勝したが、07-08シーズンはカンファレンス・セミファイナル、08-09シーズンはカンファレンス・クォーターファイナルで敗退した。特に2008-09シーズンではリーグ一の勝ち点をあげたにもかかわらず、プレーオフでダックス相手に2勝4敗で敗れた。彼らはここ数シーズン、メディアやコメンテーターらから「今年こそスタンリーカップはシャークスが獲得する」といわれ続けている。だがシーズンでよい成績を残しても、プレーオフで敗退するという勝負弱さを露呈している。注目選手は2005-06シーズンにリーグ得点王に輝いたジョー・ソーントン、2007-08シーズンには極度の不振に陥ったが2008-09シーズンに復調したパトリック・マーロウ、リーグ屈指の攻撃的ディフェンダーのダン・ボイル、安定した力を発揮するゴールキーパーのエフゲ二・ナバコフ、さらにチームの勝負弱さを補うために獲得したロブ・ブレイクである。
シャークスを最も苦しめているチームが、ダックスである。ダックスは2000年代に入ってからプレーオフの常連となっており、2005-06シーズンから4シーズン連続でプレーオフに進出している。彼らは非常にフィジカルの強さを前面に押し出したタフな試合をする。注目選手がフォワードで得点源であるライアン・ゲッツラフ、コーリー・ペリー、ボビー・ライアンの3人、さらにリーグ屈指のディフェンス陣を支えるベテランのスコット・ニーダーマイヤー、クリス・プロンガーである。プレーオフになると彼らの粘り強さが発揮される。次にスターズである。2008-09シーズンこそ守備陣が不安定だったためプレーオフを逃したが、その前のシーズンには西カンファレンス決勝まで進出した。注目選手は、マイク・リベイロ、米国人選手として歴代最高ポイント記録を有するマイク・モダノ、ゴールゲッターとして頭角をあらわしたルーイ・エリクソンである。一方キングスとコヨーテスは近年不調に陥っている。キングスは2000-01シーズン以来プレーオフに進出できていない。その最大の要因は正ゴールキーパーの不在にあるといえる。2006-07、2007-08、2008-09シーズンに50試合以上先発したゴールキーパーはいない。コヨーテスは現在、NHL史上最高の選手であったウェイン・グレツキーのもとで再建中である。コヨーテスは正ゴールキーパーの不在を2007-08シーズン途中でダックスからイリヤ・ブリズガロフを獲得することで解消しつつある。一方乏しい得点力という課題には改善の兆しが見られない。キャプテンのシェーン・ドーンが一人奮起しているが、その他の選手たちから得点が生まれない。若手の成長が待たれる。